ep26-2「地道に取り組むイノベーション―人類学者と制度経済学者がみた現場 」(北川亘太さん /比嘉夏子さん/渡辺隆史さん)
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引き続き、「地道に取り組むイノベーション―人類学者と制度経済学者がみた現場」を扱っていきます。

イノベーション関連の書籍は色々ありますが、1つのイノベーション事例に対して、3人の著者の視点から語られているのが本書の魅力です。


 さて、今回のキーワードはこちらです。

  • イノベーションの時代に求められるコミュニケーションスタイルとは?
  • ようこそおとぎ話の時代へ
  • デザイン思考という落とし穴


 ・イノベーションの時代に求められるコミュニケーションスタイルとは?

この作品では、従来のコミュニケーションスタイルを「やりとりロジック」、イノベーションの時代に求められるコミュニケーションスタイルを「対話型ロジック」と定義しています。 やりとりロジックのコミュニケーションは、オフィスで電話やチャットなどでクライアントから依頼があり、それに対する成果物をオフィス内でのチーム同士で相談・分担して作り上げていくようなものです。このスタイルでは、上下関係があり、効率的な進め方になります。一方で、対話型ロジックのコミュニケーションのイメージは、働いている人が自分の好きな場所で働き、必要に応じて連携をとるようなものです、関係性も、上下関係はなく水平関係。クライアントや決裁者が求める答えを出すなど、答えが決まっている時代では、やりとりロジックのコミュニケーションで問題ありませんでした。ですが現代ではクライアントと対話を続け、そもそもの答えを見つけること自体が必要になっています。対話型ロジックの重要性が増してきているわけです。


・ようこそおとぎ話の時代へ

対話型ロジックは、若者を中心に受け入れられ始めています。ただし、よくないストーリー(悪いおとぎ話)をつくることがあるため、扱う時には注意が必要かもしれません。著者の一人である経済学者の北川亘太さん曰く、制度経済上、私たちは「認知資本主義」の時代に生きているとのこと。認知資本主義では、金融化がポイントで価値の判断基準がお金になります。年収で仕事の上下を決めてしまうような判断軸もその一つですよね。そのため、対話やストーリー性をお金に換算して判断しようとする場合が起こりがち。気をつけないといけません。ゴールがお金だけに縛られていないおとぎ話を目指したいものです。


・デザイン思考という落とし穴

イノベーションとセットで語られがちなテーマとして、デザイン思考があります。その点、UCIラボはデザイン思考とは距離を置いてるそう。デザイン思考の概念が取り入れられ始めたのが1990-2000年代。その後はイノベーションが必要だからという理由でやたらとデザイン思考研修が行われる状態になりました。それでも日本から画期的なイノベーションが生まれていない現状を考えると、デザイン思考研修だけでは越えられない壁の存在を感じます。単なる概念だけに頼らないようにするためにも、対話が大事になるのかもしれません。


今回の作品のテーマはイノベーションですが、資本主義をどのようにして乗り越えるかについても考える回にもなりました。

認知資本主義を乗り越えていくために、新しい世界観を今後も考えていきたいと思います。

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